重力ピエロ
本は読んでないねんけど映画は2回目、
ほんまに好きな作品やから
改めて感想を残しておこうかなと
とある放火事件の犯人を兄弟が追う話
その過程で家族
家族の続きの文章が出てこうへんな
向き合うわけでもぶつかるわけでもない
家族のあり方を考えるというか
でもそれは私達が、であって
作品の中の家族が考えるわけじゃない
ただ父とも母とも血が繋がってて
当たり前のように
例えば、付き合ってるから好き同士とか
枠の中におるねんからそうやろ、みたいな
そういうんではなくて
気持ち、言動、色んなところで
動的に家族を作ってきたっていうんかな
当たり前のように家族であるために
みんなが闘って、努力してきた、
そんな家族の、「家族のあり方」の話
血が繋がってる、保護されている
仲の良し悪しは問わず
親が親であることに疑いようもなく
生きてきた人にとっては
親を親と思おうとする苦しみは分からん
それは親の側も同じで、
自分と血が繋がってない子どもを
我が子やと思おうとする苦しみもあって
それも例えば私には分からん
共感、ああ分かるっていうあの感じ、
例えばビリギャルの映画を挙げるとすると
受験ガチ勢の多くは
あれにはもう共感が止まらんと思うねん
ただ、受験ガチ勢のみんながみんな
あれに共感するわけじゃない
でも、受験ガチ勢としてではなく
スポーツ、仕事、別のところでの感情で
「ああこの感じ分かる、知ってる」
って重なって、共感が生まれることもある
野球部みんなが
ルーキーズに共感するわけじゃないやろし
野球部じゃなくても
ルーキーズに共感を覚えることもあるやろし
(感動、じゃなくて共感、ね、大事)
当人しか知らん、迫ってくるような感情
類推を挟んでいない感情
この映画でいうと、
親と血が繋がってないって
きっとこんな感じなんやろうな
子と血が繋がってないって
きっとこんな感じなんやろうな
これは類推であって、当然共感ではない
類推って、この歳になればもう特に
各々の過去とか経験とかの定規での測定で
どう頑張っても客観性は欠いてると思う
例えば今回の映画で言うと
めちゃくちゃ苦しいんやろうなとは思うけど
どれ程か、どういうもんかということに
共感のような感じ方はせん
そのことは前提で、でも
ヒントとなる事件とか言葉とかが
類推をよりリアルにすることはある
こういうことをしてまう程の苦しさか
こういうことを思ってまう程の苦しさかって
それが類推であることには変わりないけど
広く捉えられていたものが
ギュッと縮んで、共感の感覚に近付く
私らは類推しかできへん、
類推すらも十分にきかんような
壮絶な状況をみて
でも転がってる台詞で
共感の感覚に近付くようガンガン押されて
ただ、分かり切れへんっていう
余白を残して終わる
この余白が、
今、自分が想像してるよりもよっぽど辛い
と思わせてきてさらに辛くなる
恋愛とか青春とか親子とか
共感度が高めなストーリーに対して
こういう、想像でしか感情が生めへんのを
ちょっとずつちょっとずつ
どうにか共感に引っ張るように出来てて
感情移入かと言われれば難しいけど
見終わった後、どっぷり浸った感情からは
なかなか抜け出せへん、ようにはなる
好きやったところ、いっぱいあるけど
上手いなと思ったのは
レイプ犯の血を引く弟のハルの方が
父親の血を引く兄のイズミよりも
分かりやすく優れてる、
っていう絶妙に悔しくて切ない設定
イズミの方が優れてたら優れてたで
ハルにとってはかなり苦しかったやろうけど
それなら真っ直ぐ犯人を恨めた
喜ばしいようなことの基盤に
恨めしい犯人の存在、遺伝子があるから
自己を肯定するような要素で
自分を否定してしまう
家族も家族で、ハルへの凄いね〜に
絶対に複雑な気持ちが混じってしまうやん
まるで最低な犯人の遺伝子の方が
優しくて大好きな父親の遺伝子よりも
勝ってるんを表すかのようで
逆ならこの複雑な苦しさは無かったから
好きな設定やなと思った
あと、非暴力を表すガンジーを掲げながら
暴力を、暴力というだけでは
否定しない両親に泣けまくりやった
ハルを産むと決めたのは両親であって
生まれてこればいつかハルが
辛い思いをすることも分かってて
だから両親にも産むことを決めたという点で
ハルの人生とか苦しみに責任があって
ハルに自分の生を否定させられへん
周りが一方的にハルの生を否定して
それについて抵抗するなっていうことは
まるでハルが何か悪いことをしたようやん
両親が、その意味を汲んで
暴力を肯定することで
ハルは何も悪くないことを主張し続けた
ほんで最後、家族、親子の条件に
血縁関係はそんなに重要かという問いに
それをカバーできる思いや時間が
絶対にあることを知る
血縁で分かりやすく家族が始まるなら
家族が家族であり続けるためには
血縁があろうとなかろうと
動的に、家族でい続けようとすること、
そこに「当たり前」が無い分、
積み重ねたものがハッキリと見える 泣ける
楽しそうに生きていれば
地球の重力なんて消してしまえるんだよ
私たち、そのうち宙に浮かぶかもね
この家族が遭遇した事実と
それにどう対処してきたかを全て知った後
この台詞にマジで涙が止まらんくなる
書き出したら止まらんくなるので終わり
察しの通りめちゃくちゃ泣きました
二回ともめちゃくちゃ泣きました
是非に
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